今回のこの解説は、今後、種々のアイディアを独自に試す場合の非常に重要な拠り所になりそうです。
I am a professor emeritus of CS at Kanagawa Institute of Technology, Japan. Originally my specialty was parallel and distributed systems. My current interests include machine learning, natural language processing, creating mobile apps with MIT App Inventor, and quantum computing. In the web version of this blog, clicking the icon on the right (a plastic sphere) will take you to the "List of Quantum Computing Articles". - Fujio Yamamoto (for e-mail, add "@ieee.org" after "yamamotof")
2022年11月24日木曜日
量子アニーリングによる渋滞解消のための信号制御
今回のこの解説は、今後、種々のアイディアを独自に試す場合の非常に重要な拠り所になりそうです。
2022年7月15日金曜日
量子コンピューティング国際会議Q2B22 Tokyo参加レポート
ある程度詳細にレポートしようかと思ったが、著作権上の問題があるかも知れないので(ファスト映画みたいなことにはならぬだろうが)、タイトルと極く短いコメントに留める。(本記事よりも3倍くらい詳しいレポートも作成してあります。もしも、ご入用であればご連絡ください。)
2022年6月3日金曜日
量子アニーリングにおける制約条件の強さの扱い
これまで、量子アニーリングを利用して種々の組合せ最適化問題を学んできた。一般にエネルギー関数(目的関数、あるいはコスト関数とも呼ぶ)と制約条件をイジングマシンに与えて解く。この時、エネルギー関数と制約条件を単に合体させるのではなく、制約条件にある係数をかけてその強さを調整することが重要であることが分かった。だが、適度な係数値を決める方法は自明ではない。ここでは、「最適生産計画作成」を例に、その係数の値が最適化にどのように影響するかを観察する。
■例題:生産計画最適化
以下に公開されているFixstars Amplifyのセミナー・トレーニング「生産計画最適化」を利用させていただいた。
https://amplify.fixstars.com/ja/news/seminar
3台の製造装置で3品種、合計45個を生産する。各品種毎の生産台数、生産時間、及び、生産する品種を切り替えるための段取り時間が定められている。全ての製品の生産にかかる総所要時間が少なく、総段取り時間も少ない、最適な生産計画を作成する。(詳細仕様は上記URLを参照願いたい。)
制約1:各装置は同時には1品種のみを製造
制約2:各品種の生産数は規定通りにする
目的1:製造総所要時間(これを最小化する)
目的2:総段取り時間(これを最小化する)
イジングマシンに与えるmodelを以下のようにする。ここで、係数kは制約条件の強さを意味する:
model ← (目的1と目的2の併合)と( k* (制約1と制約2の併合))を合体
■制約条件の強さを表す係数kのアニーリングへの影響
このmodelを、係数kの値を変えて実行した結果、表1のように目的関数値(=製造総所要時間と総段取り時間の和)を得た。利用したイジングマシン(Fixstars Amplify AEとHiroshima Univ. /NTT DATA ABS)によって多少異なるが、目的関数の値が最小となる、係数kの値の最小値は20〜50位であることが分かった。また、係数kはかなり大きな値で良いらしい。上記セミナー資料では(算出法の明記は無いが) k=35となっていた。さすがである。
もちろん、ここで得たkの値はこの問題に特有なものだろう。しかし、上記の表からkの値の広がり具合が何となく掴める。この漠然とした感触が別の新たな問題に取り組む時に拠り所になりそうに思うのである。
■制約条件の強さを表す係数kの値の見積もり
係数kの適切な値は、コスト関数に依存すると考えられる。これらの見積もり方法はいくつか提案されているが、ヒューリスティックか、機械学習によるもののようだ。以下の2つの説明は、上記の実行結果からも納得が行くと感じた。
説明1:
以下のオンラインデモ&チュートリアル「巡回セールスマン問題」の説明:
https://amplify.fixstars.com/ja/demo
「ここで制約条件の強さに注意を要する必要があります。適切な制約条件の強さはコスト関数に依存し、十分に大きな値にする必要があるからです。しかし一方で、制約の強さを可能な限り小さくすることで、イジングマシンが出力する結果が改善する傾向にもあります。」
説明2:
インタフェース誌 2022年6月号の記事pp.129-131にある説明の要点:
実行可能解を制約条件を全て満たす解、そして実行不可能解を制約条件が満たされていない解と定義する。
- 係数kが小さい場合、実行不可能解のエネルギーが小さくなり、そこへ到達する可能性が生ずる。
- 係数kが十分大きい場合、実行不可能解のエネルギーが大きくなるため、よりコスト関数値の小さな実行可能解へ移動する傾向となる。
- 係数kが大きすぎる場合、実行不可能解のエネルギーがあまりにも大きいため、ある実行可能解に達しても、さらに別の実行可能解への移動がしにくくなり、結果として最適解に到達しにくい。
(何となく補足)
最近、「量子コンピュータによるAI」というのを見かけることがあります。ちょっと違和感ありますね。従来不可能だった何を解きたいのか、何に応用したいのか、それを示唆する簡潔な表現が欲しいですね。そうでないと、「量子コンピュータ」という言葉に流された空疎なアナウンスにしか聞こえない。小生の場合、ゲートウェイ型であれアニーリング型であれ、量子コンピューティングでどんな問題が解けるのかを、基本的な例題にひとつづつ当たって丹念に調べるという段階にあります。今回の記事もその一環のつもり。
2022年5月30日月曜日
多少リアルな搬送経路最適化を量子アニーリングで(続)
前回の「公園56ヶ所への花壇配送のための搬送経路最適化」の続編。配送先の公園の間の道が何らかの理由で通行止めの場合に、うまく対応できるだろうか?
実はこれは簡単そうだ。なぜなら、量子アニーリングでは、エネルギー関数(目的関数)の値が最低になる経路が求められるのだから、通行止めのある場合はエネルギー関数の値がぐんと大きくなるように設計すればよい。この例題では、公園を巡る総走行距離をエネルギー関数にしているので、通行止め区間の距離を仮想的に大きくすれば、その区間を含む経路は最適解として出てこないだろう。
果たして、それでうまくいくのか?
Yes、結果は以下の図の通りである。このケースでは、地蔵橋公園(#52)と常盤公園(#53)の間が通行止めになったと仮定した。トラック2台、4台使用の場合を示したが、いずれも、量子アニーリング結果として、この通行止め区間を避けた最適経路(の近似解)が得られた。
2022年5月28日土曜日
多少リアルな搬送経路最適化を量子アニーリングで
前回の記事では、TSP(巡回セールスマン問題)は量子アニーリングのための良い例題であることを述べた。今回は、これをもう一歩進めた、多少現実味のある搬送経路最適化問題を量子アニーリングで解いてみた。Fixstars Amplifyの無料オンラインセミナーの資料を参考にさせていただいた。
■課題:公園56ヶ所への花壇配送計画
これは筆者が勝手に設定した架空の問題である。区役所「緑と水の課」では区内の公園56ヶ所に、新たにミニ花壇を1セットづつ配送することにした。配送トラック(最大4台)は、「楓川久安橋公園」から出発し、配送後ここへ戻る。それらの総走行距離が最小になるようにしたい。また、できるだけ短時間に配送を完了することを念頭に、各トラックの訪問先の公園数は均等にする。
この問題、なんだか多少リアルっぽい(あり得る)ように思いませんか!
図1には、全56ヶ所の公園の位置と、トラック1台を使った場合の最適配送経路の算出結果を示した。1台の場合は、明らかに、前回のTSPと同一の問題となる。出発地の「楓川久安橋公園」を除いて、残りの55の公園に配送することになる。■トラック複数台を使った搬送経路の最適化
複数台のトラックを使用する場合には、通常のTSPの解き方を若干変更した。まず、複数台のトラックが出発点からスタートしてここへ戻るため、経路の順番毎、および、公園毎のone-hot制約を外す必要がある。すなわち、トラックの台数分に応じて、該当するQUBO変数を1または0に定数化する。さらに、トラック毎の走行距離を得るために、制約条件の対象範囲を調整する必要がある。しかしながら、これらは微々たる変更なので特段の問題はないだろう。
現実味のあるこのような配送計画(搬送経路最適化)が、量子アニーリングにより、かなり容易に解ける(最適解に近いものが得られる)ことを体験できた。量子アニーリングでは、一般に、短時間で大量の近似解が得られる。Google Maps上に結果を描画することも難しくないので、それを眺めれば、それらの中から真に実用的な解を見出せるだろう。
- 通行止め区間がある。
- 通過できる経路が定められている
- トラックの積載量に制限がある
- 配達先ごとに到着時間の制限がある
- 各配達先で作業時間が異なる
- 工場内のAGVでは、交差点制御、衝突回避なども考慮













