2022年8月16日火曜日

MIT App Inventor Summer Appathon 2022の結果の発表

 世界規模のスマホアプリ開発コンテスト「MIT App Inventor Summer Appathon 2022」の受賞者が決定した。詳細は、以下のwebページをご覧いただきたいが、優勝作品などの一部を見てみよう。

Appathon 2022の審査概要
 以下のカテゴリーが設定され、応募を受け付けた。
 ・Individual youth - 18歳未満の個人.
 ・Team youth - 18歳未満のチーム
 ・Mixed team - 18歳未満/以上の混成チーム
 ・Individual adult - 18歳以上の個人
 ・Team adult - 18歳以上のチーム
 世界中から数百件のエントリがあったようだが、最終的に完全な提出がなされたのは293件となっている。2週間程度のうちに、発想からデザインを行い、きちんと動作するアプリまで作り上げるのだがら、かなり厳しいのかも知れない。これを国際審査員グループが審査した。このAppathonの組織委員会委員19名(日本人も一人含まれる)は公表されているが、審査員名簿は開示されていない。審査では、各カテゴリー毎に5〜6件程度のFinalistsがまず発表され、その中から、第1位〜第3位の受賞者が決定された。

受賞作品の一部(特に小生の目にとまったもの)
Still Fresh by Cindy Xiao
 これは、Individual youth部門の優勝作品だ。開発の動機、目的、波及効果、手法のいずれも絶賛に値する。公開ドキュメントから、要点をまとめると以下のようになるだろう:

 アメリカでは、食品廃棄の20%は、食品に添付されている期限表示から来る混乱に起因すると言われる。実際、Best before, Best by, Sell by, Use byといった期限表示(和訳すると、「賞味期限」「消費期限」「販売期限」「使用期限」となるか?)が紛らわしい。このアプリStill Freshは、冷蔵庫や食品庫の管理・整理を支援し、どのような食品が入っているかを把握しやすくする。食品庫を効率的に管理することで、賞味期限切れや食べ忘れの食品を捨ててしまうことを回避できる。また、賞味期限切れになる前に、余った食品を地域の食品団体やアプリユーザーに寄付する仕組みも重要と考え、それも実現している。
 さらに、このStill Freshは、持続可能な食のコミュニティを作り、世界の飢餓と戦うために、これまでとは異なるアプローチを目指している。5分弱の説明ビデオがYoutubeに公開されており、作成意図と具体的な機能が分かり易い。
 このアプリは、多数の画面構成で多様なコンポーネントを設定し、様々な画面に素早く移動できるように、下部にメニューバーが用意されている。コンポーネントには、Web、TinyDB、ActivityStarter、Notifier、CloudDB、時計、BarcodeScanner、Location Senser、共有、テキスト、ImagePicker、Maps等が含まれる。例えば、WebコンポーネントはAPIの呼び出しに、TinyDBは情報の内部保存に、ActivityStarterは地図上の道順を開くのに、Notifierはメッセージや警告のアラートに、CloudDBはユーザー間に共有可能なデータの保存に使用されている。すなわち、App Inventorの高度な機能を十分に使いこなした素晴らしい作品となっているのである。

Napp-Primarily Diagnose Lung Cancer and Cataract in Humans by Nisarg Trivedi
 こちらのアプリも、Individual youth部門の作品だ。残念ながら、3位までの入賞は逃したが、Finalists入りしたものである。アプリの概要は以下のようである:

 世界の17% の人々が適切に医師の治療を受けられない農村地域に住んでいる。このアプリの目的は、主に、肺がんと白内障の可能性を、医者にかかる前に、誰でも手軽に調べられるようにすることだ。このように、医療の届かない人々の役に何とか立ちたいという思いが伝わる。
 スマホのカメラで、爪や眼球を撮影して画像を入力し、Image lassificationのextentionを利用して、病気の可能性を判定する。関連する症状の可能性についての専門の解説へ飛んで見ることもできる。使った人からのフィードバックも受ける。
 だが、心配な点もある。ファミリDoctorやwebサイトから学習用(診断)画像を収集したとのことではあるが、このような診断アプリは、医療機関や公的機関と連携して認証してもらった後に公開する必要があるだろう。その点も含めた更なる発展を期待したい。

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