<こちらには、この記事の英語版があります。多少、ニュアンスを変えて翻訳しました>
半年ほど前の小さなシンポジウムで、小生は、量子コンピューティングの取り組みに関する短い講演を行った。ある先生から、「量子コンピューティングを学ぶにあたって、量子力学は必要なのでしょうか?」という質問があった。「量子コンピューティングは情報科学寄りの側面が強いので、絶対必要というわけではないが、時として必要になると思う」という回答をした記憶がある。特段、誤りとは言えないが、これをもう少し考えてみた。
むしろ、量子力学は必須である!と言う方が正しいかったと思う。ただし、特に情報系の学生が量子コンピューティングを学ぶ前に、量子力学の授業を別途受けることが必須ということではない。というのも、量子コンピューティングは量子力学の上に築かれているので、一般的な量子コンピューティングの書籍は、(量子ビットの特性など)量子力学の最も基礎から始まるからである。そうしないと、話は始まらないのである。だから、そのような書籍や教科書から入って行けば良いのである。
それでも、量子コンピューティングがかなり進んできて、(特に、エネルギーに関係する)物理や化学、最適化などの応用に取り組むには、学部レベルの量子力学を習得している必要があるだろう。小生の場合、ずっと、情報系で仕事をしてきたが、ここ数年は独自にアマチュア量子コンピューティングをやってきた。このあたりで、量子力学の基礎を見直したいと考えていたところ、私にとって最適と思われる以下の書籍に出会った。
Leonard Susskind & Art Friedman, Quantum Mechanics - The Theoretical Minimum, Penguin Books, 2014.(全364頁)(なお、本書のpdf版は無償公開されている)
量子Computing理解を本流の目的に据えながら、それを支える学びとして量子力学の基礎にも進んで行ける学習方法を 御教示いただきました。Susskind教授たちによる書籍やVideoを紹介くださいましたことも、大変にありがたいです。情報学や工学へ物理基礎教育を志している同僚達へ情報共有させて頂きます。量子Computing御解説を 今後とも継続くださいますよう お願い申し上げます。
返信削除服部先生、コメントありがとうございます。かなり広範な量子Computingでは、ほとんどの場合、量子状態の時間依存性やシュレディンガー方程式の出番は無いように見えますので、先入観に比べると意外と容易に量子Computingへ取り組めるのではないかと思います。実用的に深く入って行くと、そうとは言い切れませんので、必要に応じて学ぶということになると思います。
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