まだ数年〜十数年は、今のコンピュータで済むだろうから、と(気にしながらも)放っている大学の先生も多いだろう。だが、(よく言われる通り)かって、体育館くらいのスペースを占めていたスーパーコンの性能を凌駕するスマホを、今や誰もが当たり前のように使っている。量子コンピュータも、いずれそのようになるはずである。それがどのくらい急速に進むかは誰にも予測は難しい。そういう状況であるから、この分野において、大学等での取り組みが本格化し始めているのは自然である。
量子コンピューティングの洋書は非常に増えている。一方、優れた和書も幾つか出版されているのだが、(一般向け啓蒙書を除くと)入門と専門の中間くらいの難易度のものが多く、(専門家としてのプライドなのか)厳密性を過度に維持したり、読者の知りたい「途中計算」を自明なこととしてカットしているものも見かける。
そんななか、束野仁政著「量子コンピュータの頭の中」は、かなり丁寧にコツコツと量子コンピューティングを理解できるように書かれた、とても好感の持てる書である。基本事項から、かなり高度なアルゴリズムまでを非常にわかりやすく解説している。さらに、IBM Quantum実機を動かして理解を深められる。待望の入門向け和書である!
もう一冊は、中山茂著「対話的量子プログラミング入門」である。これは、表紙に「VSCode x ChatGPT」と書いてある通り、ChatGPTに自然言語で問い合わせて、Qiskitなど、IBM Quantum実機で動くコード等を自動生成させる方法を書いたものである。小生自身も、すでにそのようにしてQiskitコードの一部を生成させていた。だが、気に入らないコードが生成された場合、対話で修正しようとしているうちに、的が外れて発散してしまうケースも経験している。本書ではそういう場合に対するヒントも得られそうである。
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