2026年3月19日木曜日

量子コンピューティングの学びに関する短い講演

 神奈川工科大学で「ITを活用した教育研究シンポジウム」(2026-3-18)が開催されました。今回は、第20回という記念すべきイベントとなりました。先進AIに関する、オーガナイズドセッションも設けられました。
中央左は、3Dプリンタによるロゴ(門田和雄教授ご提供)

 ここで、下図のタイトルで短い講演を行いました。量子力学100年、量子コンピューティング40年、量子クラウドサービス10年というこの時代。How Quantum Era Crept Up While You Were Busy Watching AI the Whole Year(年中AIに夢中になっている間に、量子の時代は忍び寄ってきた)という、SNS投稿もありました。私の今回の講演タイトルは、"AI時代に量子コンピューティングを学ぶ"というものです。
 大勢の方々に聴いていただき、ありがとうございました。短い時間ながら、以下のような質疑やコメントもありとても有意地でした。
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ある種のタンパク質に「量子もつれ」の電子対が作られる研究をしている。
数学が得意でない学生は、量子コンピューティングをどのように学ぶか。
初心者は量子コンピュータ実機を使うことに強い関心はあるのか。
量子カーネルによって、こんなにうまく分類できるものなのか。
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 誰かこの講演の写真を撮ってくれたかな、と思ってネットを調べたら、ここにありましたので、以下に引用させていただきます。

 この講演の練習用に作成したパワーポイントビデオは以下にあります。実講演とは若干異なりますが、大筋は変わりません。ご参考までに。

 以下に、いくつかのスライドを抜粋して載せます。




2026年3月14日土曜日

新刊洋書"Quantum Algorithms and Applications"に書評

 本日(2026-03-14)"量子アルゴリズムと応用"と題する分厚い専門書(洋書)が、下記の通り発売になりました。その中に、私のレビュー(書評)を載せていただきました。これだけの大著を完成させた著者のDr. Peter Y. Leeらに大いなる敬意を表したい。

書名:Quantum Algorithms and Applications
著者:Dr. Peter Y. Lee (Ph.D., Princeton University), Dr. Ran Cheng, Dr. Huiwen Ji
出版:Polaris QCI Publishing, March 2026(全630ページ)
販売:Amazon(ここです)

 上記は電子版(Kindle版)です。Kindle版の先頭50ページほどは無料でダウンロードできます。紙版は、分厚くなったためか、Vol.1とVol.2の2分冊になっているので、購入する場合は注意が必要です。
謝辞にも神奈川工科大学名を載せていただきました
書評を掲載していただきました
[小生の書評]
This book begins with a review of the fundamental concepts of quantum algorithms, followed by detailed explanations of key techniques such as the Quantum Fourier Transform (QFT) and Quantum Phase Estimation (QPE). It then bridges these foundations to Shor’s factoring algorithm. After demonstrating Shor’s algorithm through concrete examples, the discussion expands into the more general framework of Hidden Subgroup Problems.

The book also highlights the importance of Hamiltonian simulation, explaining time evolution as governed by the Schrödinger equation. And Variational algorithms based on Ansatz are treated with a rigor and depth that is particularly commendable.

Unlike many CS-oriented books, this book devotes substantial space to simulations in physics and chemistry. The Hamiltonian introduced earlier plays a central role here as well. In doing so, the book provides a concrete and efficient approach to simulating nature, staying true to the vision originally envisioned by Feynman.

In addition, readers can explore modern applications such as quantum optimization and quantum machine learning. Together with the other two volumes in the Scaffolding series, this book is likely to become a definitive reference in quantum computing for researchers, engineers, and students alike.

- Yamamoto Fujio
   Professor Emeritus, Kanagawa Institute of Technology, Japan

---------  和文 ---------
 本書は、先頭部分で、量子アルゴリズムの基本概念を復習し、続けて、量子フーリエ変換(QFT)や量子位相l推定(QPE)などの重要なアルゴリズムを詳しく説明している。それらを、Shorの因数分解アルゴリズムにつなげている。Shorのアルゴリズムについては、具体例を使って詳しく説明した後、それをさらに一般化する隠れ部分群問題(Hidden Subgroup problems)にまで言及している。

 また、ハミルトニアン(Hamiltonian simulation)の重要性を示し、シュレディンガー方程式に則って、それを時間発展させる説明が含まれる。Ansatz(パラメータ付き仮説量子回路)を使った変分アルゴリズム(Variational Algorithms)も丁寧に扱われているのは素晴らしい。

 他のコンピュータサイエンス寄りのテキストにはあまり出てこないような、物理と化学のシミュレーションにも多くのページを費やしている。その前に説明されていたハミルトニアンが、ここでも、うまく機能している。これは、まさに、ファインマン(Feynman)が当初構想したような自然界のシミュレーションを効率的に実現する具体的な方法を与えてくれる。

 これ以外に、量子最適化(Quantum Optimization)や量子機械学習(Quantum Machine Learning)など、最新の応用を知ることができる。この本を含む、Scaffoldingシリーズの3冊は、研究者、技術者、学生にとって、量子コンピューティングにおける新たなバイブルとなるであろう。

Fujio Yamamoto
Professor Emeritus, Kanagawa Institute of Technology, Japan
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