2025年12月25日木曜日

コマドリは渡りに「量子もつれ」を使っているらしい

 【要旨】渡り鳥の一種、ヨーロッパコマドリは、量子もつれを利用して地磁気の向きを感知し、目的地を目指すと言われる。まだ、科学的に解明はされていないようだが、これを簡単な量子コンピューティングの例題とした。

🟢コマドリは「量子もつれ」を使って地磁気を感知する
 科学雑誌Newton誌(2022-05)に、渡り鳥は量子を利用している可能性があるとの記事がありました。具体的には、「こまどり」は、青い光を受けると、「量子もつれ」状態の多数の電子のペアを作ります。

 下図の通り、自分の向きと地磁気の向きが並行ならば、そのもつれは、上下逆のスピンのペアのシングレットという状態になります。ところが、地磁気と垂直になってくると、その半数は、上上(うえうえ)の同じ向きのもつれに変化します。これをトリプレットと言います。このような変化によって、地磁気の向きを感知するとのことです。

🟢自作の量子回路シミュレータで確認する
 上記の記事には、実質1ページだけの概要しか書かれていませんでした。でも、ここでお話しだけに終わらせすに、自作の量子回路シミュレータを使って確認しました。つまり、シングレットの割合でコマドリは、地磁気の方向を判断するとのことですから、これを量子コンピューティング向けにモデル化し、シュミレーションを行いました。

 詳細は略しますが、下図の通り、例えば、地磁気との角度が90度ならばシングレットの割合は0.5となりました。これではダメですが、角度が30度ならば、0.93となリましたので、そのまま、その方向へ飛んで行けるでしょう。

 これはまさに、量子コンピューティングの利用です!学び始めた人向けの練習問題としてとても、なかなか良いのではないでしょうか!

 作成した量子回路では、2つの量子ビットをXゲートで反転させた後、Bell回路を通します。これで、シングレットを生成できます。引き続き、1番目の量子ビットに回転ゲートRY(θ)を与えるだけです。これによって、自分と地磁気の向きとの角度θに応じて、シングレットの割合を増減させることができます。

🟢IBMの量子コンピュータ実機でも確認
 ここまでは、自作シミュレータでやりましたが、IBMの量子コンピュータ実機でも、下図の通り、ほぼ同様の結果となることが確認できました。



0 件のコメント:

コメントを投稿