MathWorks社によるMATLAB EXPO 2022が本日(2022-05-25)東京台場で開催された。現地会場でのリアル開催は3年ぶりだ。でもまだコロナ禍、参加人数はかなり絞られた。過去の開催と同じホテルグランドニッコーの地下大広間だが、本来5人は着席できるテーブルに、3人分の椅子しか置かれていなかった。それでも、最初の基調講演には、ざっとみて、400人は参加していた。これに加えて、オンラインでの参加者は3,300人を超えたそうだ。機械学習とAIを、MatlabとSimlinkを用いて実務に活かそうとする流れは依然として持続している。
ユーザからの報告、Mathworksからの技術紹介、ポスター、ライトニングトーク、各社の展示デモなど、従来開催と同様に多彩。中でも、自動運転関係が目についた。基調講演の四籠真人氏(本田技研)の他、梅沢翔氏(スバル)、鈴木元哉氏(いすゞ)、井上秀雄教授(神奈川工科大学)、町田和也氏(MathWorks)等の講演がそれだ。
ここでは、四籠真人氏(本田技研)の話から、「自動運転はそんなに甘いものじゃない」ことを再認識できたので、それを思い出して簡単に書いてみる。まずはおめでたい話題から。レベル3(条件付き自動運転)の型式指定(多分、新型LEGEND)を2020年11月に国交省から初めて受けた時の感激は忘れられないとのことだ。レベル2(運転支援)とレベル3とのギャップは物凄く大きいのだ。
基調講演タイトル「自動運転レベル3を実現した開発現場の挑戦と今後の展望」を聴講して...
- ホンダのレベル3では、2050年までに、新型LEGENDによる交通事故ゼロを目指す。
- 渋滞パイロット、ハンズオフモード、高度車線変更の実走行ビデオは素晴らしい。
- 運行設計領域(ODD)でないならば自動運転に入らないことが重要なコンセプト。
- 現場では、機能開発よりも安全性・信頼性開発を優先。
- 開発ゴールが存在しない。なぜ売っていいのかを自問の苦闘が語られた。
- 事故の削減は当然だが、自動運転による新たな事故を起こさないことが必須条件。
- リアルワールドのセンシングはとても泥臭い。
- カメラの誤認識はもちろん、情報認識は間違うのを前提とする必要がある。
- カメラ間違いには、逆光、影、雨や雪、道路補修の跡、タイヤの跡、余計な白線等々。
- 冗長設計では、何を冗長とするかが難しい。タイヤを8輪にすれば良いわけではない。
- 冗長設計は複雑を極め、完成させることは非常に難しいパズルを解くようなものだ。
- 安心感、ストレスフリーとは何なのか。
- 人間が無意識に行う妥当な操作、さらにはマナーに属する行動をどう取り入れるか。
- 不具合解析力が極めて重要。
- シミュレーション、実走行ともに重要であり、互いに補完する。
- シミュレーション1,000万通り、実走行100万キロのデータが開発に反映された。
自動運転の難しさをあたらめて知ることができたことが良かった。小生、「自然言語処理」には、捕まえどころのない曖昧さを感じていたのだが、自動運転も似たところがあるようだ。
この日の夕方のFixstars Amplifyオンラインセミナー「製造業における量子コンピュータ...」に参加するため、早々と切り上げ帰宅してしまった。
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