2026年9月16日水曜日

量子ビット間の相関関係を設定してみる

 多数の人間の何らかの判断に関する相関関係を量子的に表せないか?以前、「社会的ジレンマ」問題の支援ツールを作ったことがあります。今回の話題は、それに少し関係します。というよりも、その問題を量子コンピューティングで扱うための部品かも知れません。(ただし、現時点では、適切な量子コンピューティングの問題にできる見通しはないのですが...)

 ここに、四人の学生(q0, q1, q2, q3)がいるとします。各学生は、次々と流れてくる動物のイラストに、好き(符号1)か、嫌い(符号0)かを与えます。ここで、学生の判定には以下のような相関関係があります。

Case1:
q0とq1:強いの相関(好き嫌いが逆転する傾向が非常に強い)
q1とq2:弱いの相関(好き嫌いが逆転する傾向がある程度ある)
q2とq3:弱いの相関(好き嫌いが一致する傾向がある程度ある)

Case2:
q0とq1:強いの相関(好き嫌いが一致する傾向が非常に強い)
q0とq3:弱いの相関(好き嫌いが一致する傾向がある程度ある)
q1とq2:強いの相関(好き嫌いが逆転する傾向が非常に強い)
q2とq3:弱いの相関(好き嫌いが逆転する傾向がある程度ある)

 このような相関関係は、量子ビットと量子もつれを利用すると、Fig.1やFig.2の左下図のような量子回路で簡潔に表現できるでしょう。"傾向"の強さは、RYゲートの回転角で調整できます。右側にあるヒートマップは、この量子回路を1,000回測定(1,000ショット)した結果を示しており、意図した相関関係を確認することができます。



 
 なお、多数回のshotsによるヒートマップの他に、basisベクタの出現確率からも確認できます。下図は、私のモバイル回路シミュレータによる結果です。例えば、q0とq1の測定結果が同じになるのは、|0011>, |0100>, |0111>, |1011>, |1111>の5ケースであり、その確率の合計は0.955であり、ヒートマップのstrong positiveと合致します。


【詳細説明】
🔹Case1
・q0とq1(強い負の相関): 制御RY回転ゲート(CRY)を適用し、一方のビットが 1 のときにもう一方を高確率で 0 に反転させて強い負の相関を作る。
・q1とq2(弱い負の相関): 小さな回転角度を設定したCRYゲートで緩やかな反転関係を作る。
・q2とq3(弱い正の相関): 小さな回転角度のCRYゲート+Xゲートで、緩やかな同調関係(1になりやすくする)を作る。
・q0とq3(ほぼ無相関): 間接的な干渉を抑えることで無相関を維持する。

🔹Case2
・q0: 重ね合わせ状態(H)を生成する基点とする。
・q0→q1(強い正相関): q0から q1 に大きな角度(例: 0.85π)のCRYゲートを作用させる。q0=1のときに q1も1になりやすいため、強い正の相関が生まれる。
・q0→q3(弱い正相関): q0から q3に小さな角度(例: 0.35π)のCRYゲートを作用させ、弱い正の相関を作る。
・q1→q2(強い負相関): q2をあらかじめ Xゲートで |1> に初期化し、q1 から q2へ大きめのCRYゲートを作用させる。これにより ・q1=1 のときにq2 が 0へ倒れ、強い負の相関になる。
・q2→q3(弱い負相関): q1→q2 の負の相関と、q0→q3 の正の相関の副産物として自然に q2とq3の間にも弱い負の相関が形成される。
・q0とq2: 直接の結合を作らず、かつ q1を介した間接影響により相関が相殺される設計にすることで無相関(ほぼ0)を維持する。

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