2023年3月3日金曜日

黒橋禎夫教授のChatGPTに関する解説

私とChat GPTとの会話の実例(単なるウオーミングアップです)
↓ここからが本論です:

 ChatGPTが世間的に物凄い勢いで話題になっているようです。では、自然言語処理やAIの著名な研究者はこれをどう見ているのかな?と思っていましたら、まさにそれを聞ける絶好の機会が本日ありました!(ご存じかもしれませんが...)

 本日(2023-03-03)の10:30からのNII(国立情報学研究所)のサイバーシンポジウムにて、自然言語処理の重鎮であり、次期NII所長となられる黒橋禎夫 京都大学教授のChatGPTに関する解説がありました。内部の仕組みも含めて、とても分かりやすく、参考になりました。これはなかなか聞けない情報だと感じましたので、記録しておきます。30分ほどの講演で、スライド57枚も公開されました。いつまで公開Youtubeで見られるのかは分かりませんが。

「ChatGPTの仕組みと社会へのインパクト」黒橋禎夫 京都大学教授

 私が講演を要約することはとてもできませんが、以下の点が印象に残りました。黒橋教授ご自身も、この講演のタイトルと要約文の作成に、ChatGPTを利用してみて有用だったとのことです。これには驚きました。

(1)ChatGPTの仕組みは、ニューラル翻訳→Attention→Transformer→GPTの流れで発展してきた言語モデルであり、技術的にはすでに周知のものであり、特に驚くものではない。

(2)だが、GPT3(2020)頃から、強化学習による訓練と膨大なコーパスにより、急速に自然な会話的なやりとりとなってきた。

(3)信頼できるか?について:答えがわからなくても、「それは知りません」と言わずに、言語モデルが勢いで何かを言ってしまう場合がある。コーパスに嘘があれば当然、それはある程度再現される。

(4)ChatGPTをとり入れた最新のBingでは、回答のエビデンスを示すリファレンスを示すようになってきた。人間がそれを見て、どう使うかを判断することになろう。

(5)教育での利用は制限すべきか?については:電卓や機械翻訳の利用と同様に、学習の初期では一定の制限が必要だが、ある段階からは、積極的に利用して批判的に思考を身につけることが重要。学生の利用を制限することはできないし、そうすることが正しいとは思わない。

(6)日本語は欧米語に比べてあまり学習されていないはずだが、その割には、日本語もよく回答している。だが、良質な大規模日本語コーパスで学習した言語モデルを、日本自身が持つべきである。

(7)今回のことは、人間とAIの本格的な共存の始まりと考えるべきだろう。

[最後に私自身の感想]
 特に、大学でのプログラミング演習問題の出題に大きな影響を与えそうだ。現状の、1年生や2年生に出されているプログラム作成課題は、概ねChatGPTが回答してくれるのではないか。今後数ヶ月後には、さらに進歩しているはずだ。標準的な回答が得られた後も、「この部分を関数にして」とか「...という処理を再帰的関数にして」とか、「C言語じゃなくPythonにして」などという求めにも楽に答えるだろう。上記項目(5)をよく検討する必要が出てきそうである。

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