2021年11月18日木曜日

MLB(メジャーリーグ)主審の判定結果を学習してストライク判定(3)

【what is this】MLB(前回記事(2)で示したアプリにより、メジャーリーグ主審のストライク/ボールの判定状況を観察しました。その結果、学習をもとに作成されたAI主審の判定を利用すれば、メジャーリーグ主審の誤審がある程度分かるのではないかと考え、検討しました。

■ MLB主審とAI主審の判定結果の相違
 MLBでの実際の5,000投球に対するMLB主審とAI主審(=学習済みニューラルネットワーク)の判定結果は以下のとおりでした:

  • 5,000球のうち4,539球(約91%)で、両者の判定結果が合致した。
  • 残りの461球(約9%)は両者の判定は逆転した。
  • 学習条件を種々変更しても、これ以上は両者は合致しない。
 このことから、この相違9%の主因は、MLB主審の誤審によるのではないか。すなわち、AI主審の方が、約5,000球の学習の結果、(確信はありませんが)人間よりも的確に判定しているのだろう。それを裏付ける例を、図1で確認します。(機械測定によるストライクゾーンとボールの直径は、ともに実物を同一縮小率で縮小して表示しています。)図1左は、MLB主審の判定は「ボール」ですが、ストライクゾーンに触れているので、AI主審のとおり「ストライク」のはずです。図1右の例も同様に、AI主審の方が正しいように見えます。

■ 両者の相違の詳細分析
 上では、相違例を2例だけ示しましたが、5,000投球の全てについての状況を、図2と図3に示します。図2は、相違のあったうちの、「MLB主審はボールで、AI主審はストライクだった152球すべてを表示しています。図2右には機械測定によるストライクゾーン(打者により変動するので重なっています)この図を見ると、MLB主審の「ボール」判定(青丸)の何割かは、ストラークゾーンに入っているか接しているので、ストライクとすべきだった誤審と思われます。

 一方、図3は、相違があったうちの、「MLB主審はストライクで、AI主審はボールだった309球すべてを表示しています。これを見ると、このうちのかなり多くは、ストライクゾーンから外れており、MLB主審による誤審であり、AI主審の判定(ball判定)の方が正しいように見えます。


 かなり乱暴な言い方ですが、以上の観察から、MLB主審とAI主審による相違461球のほぼ9割くらいは、MLB主審による誤審のように思えます。つまり、MLB主審は全判定の8%(= 0.9 x 461/5000 = 0.08)ほどを誤審した、と言えるのではないでしょうか。

■ MLB主審のストライク/ボールの誤審率は実際にどのくらいか?
 気になる、MLB主審のストライク/ボールの実際の誤審率はどんなものでしょうか。探してみたところ、参考資料[1][2]に、上記の結論を裏付けると思われる、次のような記載がありました!
  • 例えば、2018年のMLB Bad Call Ratioは、9.21%だった。⇒上で示した8%に近いので、納得できたような気がする。
  • 主審は、特定の状況下ではバッターよりもピッチャーに有利な判定をする。⇒図2と図3の結果と合致する。すなわち、ボールなのにストライクと誤審する場合の方が(その逆よりも)圧倒的に多い。
  • 2ストライクのときは、次の球がボールでもストライクと誤審することが多い。⇒今回の検討では、この点は分からない。

参考資料:
[1]
Gigazine「メジャーリーグ11シーズン・400万球分の投球データを分析して審判がどれだけ正しくジャッジできているのかを分析した結果」
https://gigazine.net/news/20190423-analysis-how-many-mistakes-umpires/

[2] A new study of MLB pitch calls makes a strong case for robotic umpires
https://techcrunch.com/2019/04/08/a-new-study-of-mlb-pitch-calls-makes-a-strong-case-for-robotic-umpires/


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